第九節 病証(2/4)

次に臓腑病及び経絡病の病証をのべやう。
 鍼灸古典に於いては臓脇病と、十二経病を知ることにより、その証を把握し、同時に補穴、瀉穴を載記するのが普通である。
 次にこれについて、古典の示すところをのべ 、実際治療に便することゝする。

(四)臓腑病(井滎兪経合主治穴)

一、胆病(脉、弦)
「証」潔なるを善くし、面青くして、よく怒る
 心下満(井)に竅陰穴。身熱(滎)に侠谿穴。体重節痛(兪)に臨泣穴。喘欬寒熱(経)に陽輔穴。逆気而洩(合)に陽陵泉穴。総べての場合は原穴である丘墟穴を用ふ。

二、肝病(脉、弦)
「証」淋溲し難きもの、転筋、四肢満閉し、臍の右動気あり。
 心下満に(井)大敦穴、身熱に(滎) 行間穴、体重く節痛に(兪)太衝穴、喘欬寒熱(経)に中封穴、逆気而洩(合)に曲泉穴、

三、小腸病(脉、浮洪)
「証」面赤く、ロ乾き、喜笑する、
 心下満は(井)少沢穴、身熱(滎)に前谷穴、体重節痛に(兪)後谿穴、喘欬寒熱に(経)陽谷穴、逆気而洩に(合)小海穴、総べての場合は原穴である腕骨を用ふ。

四、心病(脉、浮洪)
「証」煩心、心痛み、掌中熱し、臍上に動気あり、
 心下満に(井)少衝穴、身熱(滎)に少府穴、体重節痛に(兪)神門穴、喘欬寒熱(経)に霊道穴、逆気而洩(合)に少海穴を用ゆ。

五、胃病(脉、浮緩)
「証」面黄み、よく噫し、よく思ひ、よく味ふ。
 心下満(井)は厲兌穴、身熱(滎)に内庭穴、体重節痛に(兪)陥谷穴、喘欬寒熱(経)に解谿穴、逆気而洩(合)に三里穴、総べての場合は原穴である衝陽を用ゆ。

六、脾病(脉、浮緩)
「証」腹腸満し、食消せず、躰重く節痛み、怠惰し臥すことを好む、四肢収まらず、臍に当りて動気あり、之を按ずれぱ牢して若しくは痛む、
 心下満(井)陰白穴、身熱(滎)に大都穴、体重節痛に(兪)太白穴、喘欬寒熱に(経)商丘穴、逆気而洩に(合)陰陵泉穴。

七、大腸病(脉、浮)
「証」面白く、よく嚔し、悲愁して楽しまずよく哭く。
 心下満(井)に商陽穴、身熱(滎)に二間穴、体重節痛(兪)に三間穴、喘欬寒熱(経)に陽溪穴、逆気而洩(合)に曲池穴、総べての場合は原穴である合谷を用ゆ。

八、肺病(脉、浮)
「証」喘嗽し、洒淅として寒熱し、臍の右に動気有り之を按ずれば牢くして若しくは痛む。
 心下満(井)に少商穴、身熱(滎)に魚際穴、体重節痛(兪)に太淵穴、喘欬寒熱(経)に経渠穴、逆気而洩(合)に尺沢穴を用ゆ。

九、膀胱病(脉、沈遅)
「証」面黒くしてよく恐れ欠伸す、
 心下満(井)に至陰穴、身熱(滎)に通谷穴、体重節痛(兪)に束骨穴、喘欬寒熱(経)に崑崙穴、逆気而洩(合)に委中穴、総べての場合は原穴である京骨を用ゆ。

十、腎病(脉、沈遅)
「証」逆気し、小腹急に痛み、泄して下腫の如し、足脛寒して逆す、
 心下満(井)に勇泉穴、身熱(滎)に然谷穴、体重節痛(兪)に太溪穴、喘欬寒熱(経)に復溜穴、逆気而洩(合)に陰谷穴を用ゆ。

十一、心胞病
 心下満(井)に中衝穴、身熱(滎)に労宮穴、体重節痛(兪)に太陵穴、喘欬寒熱(経)に間使穴、逆気而洩(合)に曲沢穴を用ゆ。

十ニ、三焦病
 心下満(井)に関衝穴、身熱(滎)に液門穴、体重節痛(兪)に中渚穴、喘欬寒熱(経)に支溝穴、逆気而洩(合)に天井穴、総べての場合に原穴である陽池穴を用ゆるのである。

以上が、臓腑病の証及びその治穴である。

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